岩手県岩手郡葛巻町の株式会社岩手くずまきワインでは、山梨大学ワイン科学研究センター、国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所と共同研究された、オールジャパンワイン「Kuzumaki Story 1」が数量限定で発売となりました。
日本の古来種である山ぶどうをジャパニーズオークで作った樽で発酵・熟成させた、念願のオールジャパンワインで、これは、国産樽メーカーの有明産業、西野製材所、木材コーディネーターとも連携し、日本の広葉樹の利活用にも貢献されています。
オールジャパンのワインを造りたい。
それは、創業した35年前からの想いでした。
岩手県岩手郡葛巻町で、『この地に自生する山ぶどうでワインを造れないだろうか』からスタートしたくずまきワイン。一つひとつ改善を加えながら、多くの人に愛されるワインを目指してきました。それと同時に、海外から輸入した樽を使っていることに、どこかもどかしさも感じていたのだそうです。
意外と知られていないのですが、日本ワインと言われるもののほとんどが、フランスやアメリカなどから輸入した樽を使用しています。味や香りを大きく作用する重要な樽であるにもかかわらず、実は、日本の木で作られていなかったのです。
それが今回、日本のミズナラを使った樽が、有明産業を始めとする木材・林業関係者、木材コーディネーターの人々のおかげで誕生。また、農林水産業みらい基金の助成を受け、「葛巻産 山ぶどう」×「日本樽発酵・熟成」が実現しました。
このワイン造りの大きな特徴として、樽の樹木成分による味や香りの違いを山梨大学ワイン科学研究センター・森林総合研究所と分析、共同研究をしながら進められています。
今回は、国産のミズナラを使った樽で発酵・熟成させていますが、今後は桜や栗などの材を使った樽でどのような味の違いが生じるか、樽の内面のローストの具合でどのような香りの違いが生じるかをデータ分析しながら長期にわたって、オールジャパンワインの研究を進めていく予定。
記念すべき「葛巻初のオールジャパンワイン第一号」を、今回、くずまきワインが最も大事にしている土地への感謝の意を込めて、「kuzumaki Story 1(KUZUMAKI 葛巻 2020)」と命名。(2020年に収穫したぶどうを使用)これからもオールジャパンワインの物語が続いていきます。
自分たちでも驚くほどに、至極豊穣なワインが誕生したといえるほど、自信を持ってお届けするワイン。今後の取り組み、次のワインにも期待が高まります。
【商品詳細「Kuzumaki Story1」 KUZUMAKI 2020】
アルコール度数:10.5% 辛口
岩手県葛巻町産山ぶどう100%(720ml)
限定300本 5,500円(税込み)
ラベルは、ワイナリーからお客さまへの感謝のメッセージを記載。
https://kuzumakiwine.co.jp/japanese_wine_barrel/about/
*この商品はあっという間に口コミでひろがり、1週間足らずで完売してしまいました。
ただ、このような取り組みが来年、再来年・・・とずっと続いていくこと、「日本(国産)樽」という、これからの日本のワイン造りに欠かせない取り組みについて多くの方に知ってもらいたいと切に願い、また、このワインが、日本の森・林業と密接に関連していることも伝えていきたいという、生産者や関係者の思いが強く込められています。
<岩手くずまきワイン 醸造家・大久保圭祐>
まずはグラスに注いで美しい至極色(深紫)をお愉しみください。
ジャパニーズオークと山ぶどうの相性は最高だったようです。山ぶどうが持つ本来の力強さ、生命力のようなものが立ち上がり、独自の存在感が宿りました。
このワインは仕込み後すぐに樽に移して発酵。瓶詰めする直前までの2年間、酵母を含む澱を残したまま同じ樽の中で熟成させ続けました。樽熟成は、通常、ワインが出来上がってから行うものなので、ワイン造りにおいては仕上げの意味合いが強いのですが、「Kuzumaki Story1」( KUZUMAKI 2020)は発酵からずっと同じ樽とともに在ったことを考えると、単なる仕上げのための樽ではありません。このワインにとって、もっと重要なパートナー的な存在といえると思います。
ですから、今回の日本樽を使うという試みは、オールジャパンのワイン造りに非常に意味があることだと考えています。そして、きめ細やかなタンニンが生み出したビロードのような舌触りは、まるで山のかみさまが微笑んでくださったようにも感じています。
ぜひ、常温でお召し上がりください。
<国立大学法人山梨大学 生命環境学部長 山梨大学ワイン科学研究センター教授 奥田徹>
今、ワイン業界では、使用するブドウがどのような気候や土壌で育ったものであるか、どのような文化と人の営みによって育まれてきたのか、という”テロワール”の概念がより重視されています。そのような中で、縄文時代から日本人が親しんできたヤマブドウを日本のミズナラ樽で熟成させる試みは非常に興味深いものです。そして、何より味わい深い逸品が誕生しました。
<木材コーディネーター・鈴木直子>
「未来の子どもたちに豊かな森を残したい」と日々考え続け、林業の厳しい現実に触れる中で、ある方から「日本の広葉樹でワイン樽を作れないか」と、相談を受けたのは、もう10年以上も前のことになります。
そもそも、日本のワイナリーで使われている樽が輸入したものであることすら、最初は知りませんでした。戦前には国産樽もあったようですが、それもいつしか消えてしまっていたのです。
その相談は、次第に私の中で大きな宿題となり、どうすれば実現できるのか、樽メーカーを探し、各地のワイナリーを巡るようになりました。その中で出逢ったのが「くずまきワイン」さんでした。
岩手には北海道に次ぐ広葉樹の土場(集積場)があり、東北の広葉樹が集まる地域です。この地であれば、樽用材となる広葉樹(ミズナラ・栗・山桜)が豊富にあります。それに古来より、滋養強壮や増血に効果があるとされ、貴重な栄養源であった山ぶどうでワインを造っていらっしゃるのが「くずまきワイン」さん。これはおもしろい、と思いました。
また、こちらならば、いずれは樽工場を設置することもできますし、カスケード利用(多段階的活用)の仕組みをつくることも可能です。
持続可能なオール岩手のものづくりが実現するのです。
そんな思いを、長い時間をかけてくずまきワインの皆様と語り合い、多くの方と実現に向けて歩みながら誕生したのが今回の「Kuzumaki Story1」( KUZUMAKI 2020)です。
日本の森林に思いを馳せ、じっくり味わっていただけますと幸いです。
なお、次なる樽の作成、ワインの仕込みもスタートしています。これからの葛巻、そして日本樽の拡がりにもご期待ください。
<有明産業 坂本賢弘>
木材コーディネーターの鈴木直子さんから国産材でのワイン樽の作製依頼を受けたとき、大変戸惑いました。
我々は蒸留酒の樽作りは得意ですが、醸造酒の樽は作ったことがなかったのです。なんといってもミズナラという材は漏れやすく、さらにワインは大変漏れやすいのです。
まずは、西野製材所さんと樹齢100年以上の材を探すことから始め、どういうロースト具合がよいのか、どういう製法がよいのか、試行錯誤が続きました。
7年近く失敗の連続の日々でした。
ですから、こうして「Kuzumaki Story1」が味わえて感慨無量です。そして実にうまい。
さらに今後は、地元県産のさまざまな材を使って新たな樽づくりに挑戦していきます。くずまき Storyは続きます。
Posted by
Drive! NIPPON編集部
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