静岡県 浜名湖かんざんじ温泉「山水館欣龍」若女将 寺田佳奈子さん

静岡県 浜名湖かんざんじ温泉「山水館欣龍」若女将 寺田佳奈子さん

浜名湖の穏やかな内浦に面した「山水館欣龍」は、明治創業の料理屋をルーツに、大正時代に割烹料亭、割烹旅館へと発展した老舗の温泉宿。浜名湖や遠州灘で獲れる魚介類など地元の恵みを生かしたお料理はもちろんのこと、レイクビューの客室や総檜造の大浴場といった上質な設えも大きな魅力。旬と非日常を心ゆくまで楽しめる同館は、多くのお客様から評価を得ています。大正から受け継がれてきた旅館を支えるのは、この宿で家族のように生まれ育った姉妹と従兄弟のチーム。若女将として旅館を盛り立てている寺田佳奈子さんにお話を伺いました。

総檜造りの大浴場と露天風呂で、心ゆくまで湯浴みを

総檜造りの大浴場と露天風呂で、心ゆくまで湯浴みを

総檜造りの大浴場は、木の温かみに満ちた贅沢な空間。芯から温まるナトリウム・カルシウムー塩化物強塩温泉でたっぷりと満たされ、身体をぐんと伸ばしてリラックスできます。外にはお湯の温度を少しずつ変えた岩風呂と信楽焼きの露天風呂があり、湖を渡る風を感じながら浸かるのも幸せ。男性の大浴場・露天風呂からは、浜名湖の風情も味わえます。家族や友人と心置きなく寛ぐなら、3階にある貸切露天風呂「月の湯」「日の湯」へ。こちらは温泉ではありませんが、浜名湖を上から一望できて気分爽快です。到着後に予約すると1組1回(45分間)を無料で利用できます。

料理長の巧みな技と新鮮な食材で楽しむ、非日常のひととき

料理長の巧みな技と新鮮な食材で楽しむ、非日常のひととき

20年来の料理長が腕を振るう料理を求め、季節ごとに訪れる常連のお客様もいるほど。割烹旅館の名にふさわしく、食材や器のひとつひとつに旬と非日常が盛り込まれ、料理が供されるごとにテーブルが華やぎます。夏は遠州灘で獲れる天然のハモや川魚の鮎といった、魚介類がとくに美味しい季節。多くのコースに鰻の蒲焼きも付き、ご当地の名物を余すところなく味わえます。また、浜名湖はすっぽんや車海老も名高く、汽水湖がもたらす新鮮な恵みにきっと驚くはず(すっぽん料理は予約時にオーダーを)。近年、新設された食事処には半個室も用意され、プライベート感に満ちたひとときを過ごせます。

すべての客室から浜名湖を一望。インクルーシブの客室も登場

すべての客室から浜名湖を一望。インクルーシブの客室も登場

目の前に広がるのは浜名湖と大草山の絶景。すべての客室から美しい浜名湖を一望でき、旅情が一際高まります。客室はスタンダードな和室、二間続きの和室、和洋室といった多彩なタイプが揃い、客室名をふと見るとフロアごとに半島、川、湖、山の名になっている、そんな遊び心に思わず笑みがこぼれます。コロナ禍を機に一部の客室リニューアルが行われ、個人客のニーズに合わせたコンフォートツインルームとスーペリアツインルームが新たに登場。湖側にベッドが並び、手前に畳とソファを設えた客室は、朝の目覚めと同時に浜名湖を堪能できるのが至福。この2タイプは、客室内のドリンクがすべて無料というインクルーシブを取り入れているので、ホテルライクな寛ぎを味わってみては。

与謝野晶子も宿泊した名旅館。歌人が詠んだ景色を眺めて一服

与謝野晶子も宿泊した名旅館。歌人が詠んだ景色を眺めて一服

同館に到着したら、まずは浜名湖に面したロビーでひと休み。お茶とおしぼりで出迎えてくれ、観光や移動の疲れが癒されます。浜名湖の眺めは季節や時間ごとに趣を変え、夏の湖はかつて同館に宿泊した歌人、与謝野晶子が詠んだ歌の情景さながら。「さわやかに 水はるかなり 遠江 濱名の湖の 夏の夕ぐれ」という直筆の句がフロントに飾られているので、ぜひ目を留めてみては。格調高い純和風の館内は女将が生ける花や調度品で彩られ、落ち着いた設えにも見入ってしまうはず。料理、温泉だけでなく、心づくしのおもてなしにも惹かれる名旅館です。

従兄弟と妹の4人で老舗旅館を継承。「家業から企業へ」が合言葉

従兄弟と妹の4人で老舗旅館を継承。「家業から企業へ」が合言葉

母方の家業である「山水館欣龍」は、若女将の寺田佳奈子さんにとって幼い頃から“家”のような場所でした。「両親と叔父が働いていましたので、従兄弟と私と妹の5人はここで生まれ育ったようなものです。小学生の時は旅館のお手伝いをしておこづかいをもらい、駄菓子屋さんに走っていましたね(笑)」。今は4人が要職について旅館を盛り立てているといい、「遠慮なく意見が言い合えるのが身内のよさ。少し口げんかしても、気がつけば元通りです」とにこやかに語ります。

寺田さんが旅館の仕事を意識したのは、祖母の女将としての立ち振る舞いを舞台裏から見ていたことがきっかけでした。ホテルの専門学校を経て、他の旅館で修業を重ね、同館へ入社。「祖母の誘いで5歳から日本舞踊を始め、高校まで続けました。着物が好きになり、今でも祖母や母の着物を着てお客様のお見送りをしています」と祖母との思い出を話してくれました。

今は子育て中で勤務時間が限られるため、人事・経理・総務といった裏方を主に担当。「4人で『家業を企業に』というモットーを掲げ、スタッフが働きやすい環境づくりを模索中です。勤務シフトを明確にして、オンオフのメリハリを付けられるようにしたいと考えています」。団体客から個人のお客様中心へとシフトチェンジするための改築など、皆で一丸となってチャレンジを行っているそうです。

「当館は105年目を迎えました。新たな100年に向け、次世代スタッフの育成に力を入れようと話し合っています」と笑顔で語る寺田さん。姪っ子さんも入社した今、家族とスタッフのチーム力はより強固なものに。受け継いできた伝統に新たな風を吹き込みながら、次なる100年の歴史を紡いでいます。

浜名湖かんざんじ温泉 山水館欣龍
住所/静岡県浜松市中央区舘山寺町2227
TEL/053-487-0611

Posted by

Drive! NIPPON編集部

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