「クルマでおでかけするすべての大人たちへ」をコンセプトとしたDrive! NIPPONは、働き盛りのビジネスパーソンの読者に対してライフスタイルのアップデートの一助になればと思い、トップアスリートの仕事に対する向き合い方、クルマとの付き合い方、さらには人生観などをインタビュー形式でお伝えする『トップアスリートの仕事とクルマ』を立ち上げました。第1回はプロサッカー選手であり、大のクルマ好きでもある久保藤次郎選手です。久保選手は藤枝MYFCでの活躍が認められて名古屋グランパスに昨年移籍加入した現役Jリーガーです。さっそくプロのお仕事についてお話を伺いました。
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目次
結果を出すにはとにかく練習。やり切る度に自分を褒める。
――試合で結果を出すために、どんなことに取り組んでいますか?
当たり前かもしれませんが、普段の練習が最も大事だと思って取り組んでいます。練習は「自信を持つまでやり切る」という意識で昔からとにかく量をこなしてきました。そして、練習で自信をつけたプレーを試合で試し、上手くいけば更に自信がつく、といった感じで小さな成功体験をずっと積み重ねてきました。それが大きな成果となり今の自分がいると実感しています。練習で調子が上がらないことや、勝負事なので試合で思うようにいかないことは勿論ありますが、練習をやり切った時や試合で少しでも上手くいった時はできるだけ自分を褒めるようにしています。これが継続して努力していくコツですかね。また、普段のコンディションを整えることにも気を配っています。疲れを残さず翌日のパフォーマンスを上げるために、毎日最低7時間半は睡眠時間を取ると決めています。同時に、睡眠の質も担保できるよう就寝30分前はスマホを見ないように努めています。見たい気持ちを抑えるのは結構我慢がいるんですよ(笑)。
「我々はエンターテイナーを目指そう!」が自分を変えた。
――藤枝MYFC時代の大活躍が名古屋グランパス入りにつながったと思いますが、
その活躍のきっかけや影響を受けたことなどはありますか?
はい、藤枝MYFC時代の恩師である須藤監督の「我々はエンターテイナーを目指そう!」という言葉に大きな影響を受けました。監督は映画の『グレイテスト・ショーマン』を引き合いに出されました。この映画は、個性があり、癖の強い荒くれ者達がサーカス団を結成し、各自の得意なところを生かしつつ、苦手を皆で補い合ってショービジネスを成功させていく物語なのですが、「我々もチームで団結し、選手一人一人の得意なところを存分に生かし、不得手を皆でカバーして助け合い、映画のサーカス団のようにサポーターにエンターテインメントを提供し、魅せるサッカーをしよう!」と監督が熱弁してくれたのを今でもはっきりと覚えています。それまでの自分は“少しでも上手くなりたい”とあくまで『自分がどうなりたいか』、という思いで取り組んでいましたが、監督の言葉を機に、『試合を見に来てくれるサポーターが自分やチームのプレーをどう思うか』を中心に考えるようになりました。その結果、サポーターを魅了出来るプレーは、自分の得意なドリブルであり、沢山走ってチームの攻守に絡むことだとあらためて気づかされました。そして、サポーターを感動させるエンターテインメントを追い求めた結果、得意なプレーの質と量が上がり、チーム力も向上して良い結果に繋がっていきました。
ロナウジーニョが乗っているクルマを見たらラッキーDAY!
――ありがとうございます。『自分が努力し続けること』、『チームで団結しお客様のために何が出来るか考えること』など、サッカー以外のビジネスでも本当に重要なことだと思います。
さて、続いてクルマについてもお話を伺いたいと思いますが、
大のクルマ好きである久保選手がクルマに興味を持ったきっかけは何ですか?
幼い頃、スポーツカーが通ったら「おおー、スゴい!」みたいな軽い会話を父とよくしていて、物心つく前からなんとなくクルマを意識していました。また、小学生の時、ブラジルのサッカーが大好きで『ロナウジーニョ(元ブラジル代表)が乗っていたクルマを見たらラッキーDAY!』というゲームを自分の中で作って、毎日そのクルマが通るのを楽しみにしていました(笑)。その頃にはもうクルマが好きになっていましたね。極めつけは高校時代で、寮の仲間がクルマのゲームが好きで、リアリティのある映像でクルマが選べて運転できるそのゲームに自分もハマってしまって(笑)。結果、色々なクルマを覚えていって、“社会人になったらこれに乗ろう”と決めていました。そして大学を出る時にそのクルマを買ったんですが、ボディ色はもちろん大好きなブラジル代表のチームシャツの黄色です(笑)。
大好きなクルマを傷つけたくない。だから安全運転なんです(笑)。
――クルマの運転で注意していることはありますか?
事故を起こしたくないのは言うまでもありませんが、“大好きなクルマを傷つけたくない”という一心で安全運転を心がけています。前述の黄色の愛車は、購入時には既に生産終了していた限定モデルで、ディーラーさんが自分のために一生懸命探して見つけてくれたものです。また当時クルマを持っていなかった自分が、そのディーラーさんまで自転車で何度も通い手に入れた思い出深い一台なんです。そんな一期一会で出会った愛車に“壊れるまでずっと乗っていたい”と思うからこそ、“絶対にぶつけたくない”という高いモチベーションで運転しています(笑)。たまにヒヤッとする時もありますが、その時は更に気持ちを引き締めています。今の時代、レンタルやシェアカーでもクルマは利用できますが、所有するからこそのクルマへの愛着を大事にしたいと思っています。
仕事や趣味と家庭を両立し、周囲から慕われる人間になりたい。
――クルマへの熱い思いが詰まったエピソードをありがとうございます。
最後に久保選手の人生観について聞かせて下さい。
将来の夢は『イケオジ』ということですが、久保選手にとってイケオジとは?
自分にとっての『イケオジ』は、家庭を持った後もオーラがあって自分の軸・こだわりをしっかり持っている男性です。ここでいう軸・こだわりの対象は仕事や趣味で、これを妥協せずに追及し自分の人生を楽しみつつも家庭を大事にしていて周囲からも慕われている、そんな人間に憧れています。結婚して家庭を持つとライフスタイルや生活における優先順位は勿論変わるので何を甘いことを言っているのかと思われるかもしれませんが、決して家庭をおろそかにするということではありません。ただ、自分もおろそかにしない生き方を目指したいと思っています。正直、この考え方は自分のクルマ好きからも来ていると思います。“家族がいても大好きなスポーツカーにずっと乗るぞ”というこだわりを持って人生を楽しんでいきたいんです(笑)。もちろん、仕事(サッカー)を追及していくことは当然のことですが。前述の恩師の須藤監督など私が憧れている方々は、自分の仕事や趣味と家庭を両立し、周囲からも慕われています。そんな『イケオジ』になるのが将来の夢です。
<プロフィール>
久保 藤次郎(くぼ とうじろう)
1999年4月5日生まれ。愛知県岡崎市出身。小学生年代はグランパス岡崎スクールに通い、中学生年代はグランパスみよしFCに3年間在籍。その後、帝京大可児高校、中京大学、藤枝MYFCを経て、昨夏名古屋グランパスに完全移籍で加入。今夏、サガン鳥栖へ期限付き移籍。粘り強い守備と切れ味鋭いドリブル突破が持ち味。
≪まとめ≫
久保藤次郎選手のインタビューはいかがだったでしょうか。読者の皆さんにとってライフスタイルを見つめ直す気づきやヒントになれば幸いです。また、Drive! NIPPON編集部は、ご多忙の中取材にご協力頂いた久保選手をこれからも応援していきたいと思います。今後もトップアスリートへの取材を通じて皆様により良い情報をお伝え出来るよう努めていきますので乞うご期待ください。