鮎は澄んだ川の象徴と言われます。美味しい鮎が育つためには、エサとなる上質なコケ(藻類)が必要です。太陽光線がコケ(藻類)の生える石まで届けばコケ(藻類)が豊富に育ちますが、泥や落ち葉などのごみに遮られるとあまりコケ(藻類)が生えません。
清流長良川のシンボルである鮎は、岐阜県の県魚として、県民に愛されています。
■世界農業遺産「清流長良川の鮎」
世界農業遺産は、世界において重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域を国連食糧農業機関(FAO)が認定する制度です。古くから、清流長良川で育つ「鮎」は、流域の食、鵜飼や和紙などの伝統文化、歴史、経済と深く結びついています。この鮎を通じて、人々の生活、水環境、漁業資産が連環している岐阜県ならではの仕組み(長良川システム)が評価され、「清流長良川の鮎」は平成27年12月に世界農業遺産に認定されました。
■今が旬!長良川の鮎
今まさに旬を迎える鮎は、初夏と晩夏それぞれで異なる味わいが楽しめます。若鮎の時期(6月~7月上旬)ならではの柔らかくさわやかな風味や、最も脂がのった成熟時期(7月中旬~8月中旬)のスイカのような芳香、産卵のために川を下る途中(8月下旬~10月)は、お腹の中にプチプチとした卵を持っています。
■清流長良川の恵みの逸品
岐阜の名産品には鮎が登場するものが多くあります。鮎の昆布巻きなどの加工品のほか、鮎の形の生地で求肥をくるんだ「鮎菓子」など鮎の形を愛でるもの等、岐阜の手土産におススメです。岐阜県では、世界農業遺産認定を地域振興に活かすため、長良川上中流域の農林水産物をはじめとする清流長良川の恩恵を受け、恵まれた自慢の商品、全52商品を「清流長良川の恵みの逸品」として認定されています。
■岐阜県HP「県産品をオンラインで購入できるウェブサイト」
https://www.pref.gifu.lg.jp/page/27154.html
<清流長良川について>
鵜飼が行われることで有名な長良川。岐阜県北部の大日ヶ岳から南へと岐阜県内を縦断し、三重県桑名市で揖斐川に合流、伊勢湾へ流れ込みます。全長166km。流域に86万人が暮らしています。高知県の四万十川、静岡県の柿田川とならんで日本三大清流といわれ、名水100選に選ばれています。流域に住む人々にとっては、通学に川を渡り、夏には川で遊び、ふるさとの思い出に刻まれる景色です。
<1300年の歴史を有する、長良川の鵜飼>
古事記や万葉集にも鮎を釣る記述があるほど、古来、日本人に愛されてきた鮎。岐阜県の長良川では、毎年5月中旬から10月中旬の間、1300年来我が国の古代漁法として伝承されてきた鵜飼漁が御料鵜飼として皇室の保護のもとに行われています。長良川の鵜飼の歴史は古く、美濃国(現在の岐阜県)では、7世紀頃から鵜飼が行われていたと言われています。また、岐阜城を拠点に天下統一を目指した織田信長は、鵜飼を「見せる(=魅せる)」おもてなしの手法として最初に取り入れ、大坂夏の陣からの帰りに岐阜に滞在した徳川家康・秀忠父子は、滞在中に食した鮎鮨を気に入り、将軍家への鮎鮨献上が始まったとされています。このように、“鵜飼”と鮎料理は、歴史の偉人をも魅了してきました。
<清流長良川と美濃和紙>
岐阜では、長良川の水を利用して、和紙や染物などの伝統産業が発達してきました。また、古来より川が街道のように山と町と海をつなぎ、経済を発展させてきた歴史があります。
その代表例が美濃和紙(美濃市)です。奈良時代から歴史がある美濃和紙。中でも最高級の手漉き和紙「本美濃紙」の技術はユネスコ無形文化遺産に登録されています。長良川上流の美濃においては、和紙を純化する清らかな源泉となり、この清らかな水のおかげで、白く均一に紙を漉くことができるのです。美濃和紙は、長良川の水運を利用して運ばれ、和傘やうちわなどに姿を変えながら、人々の暮らしの隅々に浸透し、流域の経済を大きく発展させました。
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Drive! NIPPON編集部
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