ヨーロッパの王侯貴族たちに愛された磁器「古伊万里」の積出港として栄えた、佐賀県伊万里市。江戸時代、大川内山(おおかわちやま)には鍋島藩の御用窯があり、技法が漏れないよう関所を設けて職人たちを厳重な監視下に置いたことから「秘窯(ひよう)の里」と呼ばれています。ちなみに「古伊万里」、「伊万里」と分けて表現されますが、前者は江戸時代に佐賀県有田町やその周辺で制作された骨董価値の高いもので“オールドイマリ”として世界中に熱烈なコレクターがいるほど。後者は明治以降に伊万里市で焼成された磁器を指します。こうした歴史が息づく伊万里で、焼き物と触れ合う旅へご案内します。
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目次
伊万里焼見物とハッピーなご利益で一挙両得、幸せを呼ぶ3つの「縁起橋」
伊万里川には「幸せを呼ぶ」といわれる3つの縁起橋が架かり、それぞれに設置された伊万里焼のオブジェも見どころです。酒樽にまたがる蘭人像が愛らしい「相生橋(あいおいばし)」は、川岸に2本の松が夫婦松のように仲良く並んでいたことから“夫婦・恋人で渡ると仲睦まじくなる”との言い伝えが。続く「延命橋」(画像)にはひょうたんでナマズを押さえる子どもの像が設置され、橋のそばにある延命地蔵が名の由来に。健康を祈願しながらこの橋を渡ると長生きするといわれています。最後に掛かるのが「幸橋(さいわいばし)」で、渡った先にある伊萬里神社へお参りすると夫婦円満にご利益があるそう。散策がてら、立ち寄ってみましょう。
住所 佐賀県伊万里市伊万里町乙(相生橋、延命橋)
佐賀県伊万里市立花町(幸橋 ) TEL 0955-23-3479(伊万里市観光協会)
軒下を彩る風鈴と涼やかな音色「風鈴まつり」
焼き物の里・大川内山で夏の風物詩となっている、風鈴まつり。今年も例年通り、8月31日まで開催されています。各窯元の軒下には総勢1,000個もの風鈴が吊り下げられ、ガラスとは趣の異なる涼しげな音色が山里に響き渡ります。青磁や染付、色鍋島などの伝統柄をはじめ、季節感漂う絵柄もあってバラエティ豊富。風鈴の音色には魔よけの意味があるといわれ、大きさや紐の長さによって音色が異なりますから、いろいろなお店を巡ってお気に入りを手に入れましょう。
住所 伊万里市大川内山一帯 TEL 00955-23-7293(伊万里鍋島焼会館)
駅の待ち時間に古伊万里や鍋島を愛でる「伊万里・鍋島ギャラリー」
伊万里駅の改築に伴い、全国でも珍しいステーション同化型の焼き物ミュージアムとして平成15(2003)年に開館。松浦鉄道(MR)側の伊万里駅2階にある展示室には、伊万里市が所蔵する「鍋島焼」85件163点、「古伊万里」75件129点を順次入れ替えながら展示しています。エントランスの照明に使われている焼き物には伊万里市所蔵の鍋島焼を題材にした模様が描かれ、こちらも一見の価値アリ。さまざまな技法を駆使した気品ある鍋島焼や絢爛豪華な古伊万里の美を、心ゆくまで。
住所 佐賀県伊万里市新天町622-13
(松浦鉄道・伊万里駅2階) TEL 0955-22-2267 営業時間 10:00~17:00 定休日 月曜(祝日の場合は翌日、展示替えや資料整理に伴う臨時休館あり)
12月29日~1月3日
古伊万里鑑賞のあとは絵付けに挑戦「伊万里・有田焼伝統産業会館」
色鍋島、古伊万里をはじめ、伝統を受け継ぐ現代窯元の代表作などを展示。こちらでやってみたいのが絵付け体験です。マグカップや茶碗、湯のみ、風鈴などから好みの形を選び、呉須(ごす)という青色に発色する絵の具で染め付けを行います。好きな絵柄を書き込み、世界で一つだけのオリジナルが完成。後日、焼き上げた完成品を発送してもらえるので、旅の思い出にいかが?(送料は別料金)
※絵付け体験900〜1,500円(送料800円〜)、所要時間は30-60分程度、10人以上の場合は事前に予約を。
住所 佐賀県伊万里市大川内町丙221-2 TEL 0955-22-6333 開館時間 9:00~17:00(体験受付は16:00まで) 休館日 年末・年始
伊万里焼に詰まった各店自慢の味を食べ比べ「伊万里牛の重箱御膳」
伊万里のご当地グルメとして協賛店で提供されている「伊万里牛の重箱御膳」。伊万里牛を使った各店自慢の味を、伊万里焼の重箱で味わえます。中でも昭和38年創業の喫茶とお食事の店「伊万里ロジエ」では、可能な限り、伊万里や有田の古陶磁で提供。運が良ければ貴重な古伊万里で食事が出来るチャンスです。きめ細やかな肉質と脂の甘みが広がるA5ランクの伊万里牛が重箱を覆い、至福の味わい。コーヒーとデザート付きで2750円、前日までに予約を。
住所 佐賀県伊万里市伊万里町甲567 TEL 0955-23-3289 営業時間 10:00~L.O.16:00 (以降は予約制) 店休日 不定休 協賛店舗
URL https://www.asobo-saga.jp/gourmets/detail/91880f9b-374b-4c2e-a0ae-3171a95dca7c
まとめ
いかがでしたか?「伊万里」や「古伊万里」の名称以外にも、冒頭でご紹介した大川内山・鍋島藩で制作された磁器を「鍋島焼」、有田地区で制作されていた「古伊万里」は明治期を境に「有田焼」と呼ばれるようになったことなど、歴史のルーツがつながっている点にも注目しながら巡ると、一層興味深い旅になりますよ。
(文:三角由美子)
Posted by
Drive! NIPPON編集部
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