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投稿日:2022.06.07 Tue

「陸王」や「のぼうの城」の舞台。温故知新な行田のまちをめぐる

「陸王」や「のぼうの城」の舞台。温故知新な行田のまちをめぐる

埼玉県北部に位置する行田市。古くは万葉集や風土記に「さきたま」として称された、埼玉県由来の地です。古墳時代に作られたとされる「稲荷山古墳出土鉄剣銘」は、日本古代史を語る上では欠かせない逸品で国宝に指定されています。戦国時代、豊臣秀吉の関東平定において水攻めされた「忍城」は、唯一落とされなかった城と言われ「のぼうの城」として小説化・映画化されました。また、江戸時代から奨励されてきた足袋産業は明治時代になるとミシンの普及により爆発的に生産力が向上。昭和の最盛期には日本の足袋の80%を行田で生産していたとされ、最近では、行田市の足袋工場がモデルとなった書籍・ドラマ「陸王」で一躍話題となりました。歴史の礎を築き、時代とともに様々な文化や伝統を生み出してきた行田の魅力をご紹介します。

「のぼうの城」で話題となった「忍城」

「のぼうの城」で話題となった「忍城」

室町時代に築城された「忍城」は、関東七名城の1つとされています。戦国時代の終わり、豊臣秀吉と敵対する北条氏側についていた城主成田家は、石田三成によって攻められ、忍城に籠城します。石田三成は利根川を利用して全長28mに及ぶ堤を築き水攻めにしますが、落城せず、この時の風景が水に浮いているように見えたことから、忍城は別名「浮城」とも呼ばれています。この「忍城の戦い」をモデルとして書籍化されたのが「のぼうの城」。野村萬斎主演で映画化もされました。現在の忍城は、明治維新で取り壊されたものを復元したレプリカです。城の中は歴史資料館になっており、最上階の窓からはかつて城主が眺めたように行田市を一望できます。

住所 埼玉県行田市本丸17-23 TEL 048-554-5911 URL https://www.gyoda-kankoukyoukai.jp/spot/530 

月に一度のライトアップ「希望の光」

月に一度のライトアップ「希望の光」

行田市では、手水を花で彩る「花手水week」が毎月1日〜14日(11月と1月は15日〜末日)に開催されています。この花手水weekに合わせて毎月1度開催されるのがライトアップイベント「希望の光」。「忍城」や「行田八幡神社」はじめ周辺施設が花と光で幻想的に輝くイベントです。青白く照らされる忍城は昼間よりも力強く荘厳な佇まい。場内は和傘や灯籠で妖艶に演出され、花街に迷い込んだような気分に。

今後の開催スケジュール(予定) 2022年5月7日(土)、6月4日(土)、7月2日(土)、9月3日(土)、10月1日(土)、11月19日(土)、12月3日(土)
※8月の開催はありません。
 
開催時間 日没後~20:30まで  TEL 048-577-8442(行田おもてなし観光局)  

「陸王」の世界「行田足袋」を学べる「足袋と暮らしの博物館」

「陸王」の世界「行田足袋」を学べる「足袋と暮らしの博物館」

行田足袋のはじまりは約300年前。江戸時代は、武士や農家の妻の副業として作られていましたが、明治時代の身分制度崩壊により、日常生活の中で足袋を履くことが一般化したことで、「行田足袋」の需要が増大していきました。行田周辺の地形が綿花や藍の栽培に適していたことや、中山道が近く流通しやすかったことなど地の利も相まって、最盛期には全国の80%の足袋を行田で生産していたそうです。今なお和装文化の足元を支える「行田足袋」のストーリーは平成29年に「日本遺産」に認定されています。こうした足袋の歴史を学べる「足袋と暮らしの博物館」は、行田足袋を支えた「牧野本店」の足袋工場を活用してできた博物館です。行田足袋の歴史や文化を学べる他、元足袋職人さんによる実演、オリジナルの足袋づくり体験ができます。書籍・ドラマ「陸王」でも解説されていた足袋の生産工程を間近で体感できる博物館です。
(写真提供:行田市教育委員会文化財保護課)

足袋とくらしの博物館
住所 埼玉県行田市行田1-2  TEL 048-556-5171(開館時間内)
048-552-1010(10:00~16:00)
 
開館時間 10:00〜15:00  開館日 土・日(夏期休暇あり。冬期は12月半ば〜1月上旬まで休館、平日は祝日も閉館)  入館料 200円(小学生は100円)  URL https://www.tabigura.net/tabihaku.html  


My足袋作り体験
開催時間 13:00〜15:00(所要時間2時間)  開催日 毎月第二日曜(要予約・定員あり)  参加費 一足 2,500円  予約はこちら
(原則E-mail)
gyoda@tabigura.net  

身体の外からも中からもおいしい!足袋蔵をリノベーションしたそば屋 「あんど」

身体の外からも中からもおいしい!足袋蔵をリノベーションしたそば屋 「あんど」

行田市の旧城下町を歩くと、石造、煉瓦造、モルタル造、鉄筋コンクリート造、木造など個性豊かな「足袋蔵」が散見されます。その1つをリノベーションしたのがそば屋「あんど」。太く立派な梁がむきだしとなった高い天井は開放感があり、スワッグで装飾された店内はレトロとモダンが重なるおしゃれな空間です。蔵という天然素材の建物内で「身体においしい」をコンセプトに無農薬野菜や産地にこだわったそばを提供しており、コシのあるつるっとした二八そばは一食の価値あり。

住所 埼玉県行田市天満3-13  TEL 048-553-3110  URL http://www.soba-and.com/  

初代市長の邸宅で心ゆくまでくつろぐ「カフェ 閑居」

初代市長の邸宅で心ゆくまでくつろぐ「カフェ 閑居」

行田市の初代市長奥貫賢一氏の邸宅をリノベーションして生まれ変わった「カフェ 閑居」。奥貫氏は戦後の混乱期にインフラの整備、土地の民主化、都市基盤の確立といった行田市の近代化をすすめた方。閑居とは「世事に煩わされず、自分のしたい事をしてのんびり暮らす」という意味だそう。2階建てになっており、掘りごたつとお座敷、テーブル席があります。食事は閑居御膳やパンプレートの他、オリジナルスウィーツもあり1つ1つ噛み締めたくなるような手作りを感じるメニューです。ドリンクメニューも1杯ずつ丁寧に淹れたハンドドリップコーヒーや種類豊富な紅茶、チャイなどバリエーションが豊富。店名の通りのんびり庭園を眺めながら、移りゆく時間を楽しめるお店です。

住所 埼玉県行田市行田7-3 TEL 048-556-2052  URL http://www.cafe-kankyo.com/kk_index.html  

大正時代建造の洋館で行田グルメを楽しむ「ヴェールカフェ」

大正時代建造の洋館で行田グルメを楽しむ「ヴェールカフェ」

パステルグリーンが印象的なおしゃれな木造の建物は、なんと大正時代に建てられた「忍町信用組合」という銀行。「ヴェール」はフランス語で「緑」という意味。「忍町信用組合」はかつて足袋商店主が中心となって設立し、行田足袋を金融の側面で支えた金融機関です。「ヴェールカフェ」では、市民に愛されつづけている行田の郷土グルメ「ゼリーフライ」はじめ、市内の精肉店や豆腐店と連携した健康メニューを提供しています。キッズプレートもあるので、子供連れでも安心。
(写真提供:行田市教育委員会文化財保護課)

住所 行田市水城公園2305 TEL 048-556-4330  URL https://oshimachicafe.main.jp/  

悠久に思いをはせる「さきたま古墳公園」

悠久に思いをはせる「さきたま古墳公園」

「さきたま古墳公園」は1600年〜1300年程前に建造されたであろう大型古墳が9基ある広々とした公園です。中でも丸墓山古墳は小高い山のようになっており、埼玉県発祥の地とされているこの地域一帯を望めます。石田三成の忍城水攻めの際には、丸墓山古墳に本陣を築いたそう。時を経て同じ景色を眺めることで歴史に思いを巡らせてみては。各古墳は当時この一体をおさめた主のお墓であるとされているものの、具体的にどういう人が葬られているのかなど詳細なことは解明されていないようです。公園内にある「さきたま史跡の博物館」では稲荷山古墳から出土した国宝の「金錯銘鉄剣」やヒスイの勾玉、鏡などの副葬品を見学できます。未だ謎が深い古墳時代を紐解くための超一級資料をこんなに間近で見られるのはなかなかないかもしれません。

住所 埼玉県行田市埼玉4834 TEL 048-559-1111  URL https://sakitama-muse.spec.ed.jp/home  

まとめ

はるか昔、古墳時代から人々の生きてきた証が残っている行田。建物や資料が丁寧に保管されているので、当時の面影を鮮明に感じ取ることができます。今回紹介したスポットは自家用車や徒歩で1日で回れる距離感。行田市までは首都圏から2時間ほどで行けるので、ふらっと訪問してみてください。

(文:さくらい ちさと)

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Drive! NIPPON編集部

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