沖縄県の旅行では、南国の雄大な自然と美しい海が堪能できる、ドライブ旅行がおすすめです。その際に絶対に外してほしくないポイントが「海中道路」です。大きな空の下、エメラルドグリーンの海をそのまま車で走っているかのような体験ができますよ。今回は海中道路と海中道路がつなぐ4つの島々を紹介します。また、海中道路を通って行ってもらいたいスポットを幅広くピックアップしました。ぜひ観光の参考にしてくださいね。
TABLE OF CONTENTS
目次
1. 海中道路ってどんな道路?
海中道路とは、沖縄本島中部東海岸にある与勝半島(もしくは勝連半島)から近隣の離島(平安座島・浜比嘉島・宮城島・伊計島)をつなげている全長約4.75kmの県道(県道10号線)のことです。海中道路といっても、海の上に架かった橋梁でもなければ、海底トンネルでもありません。一見すると橋のように見えるかもしれませんが、比較的浅い海底に土手を築き、その上に道路が敷設されています。
1972年に海中道路ができるまで、沖縄本島から平安座島・浜比嘉島・宮城島・伊計島の4つの離島への移動は、干潮時に浅瀬を歩いて渡るか満潮時に渡り舟を利用するかしかありませんでした。海中道路ができたことにより、島を渡る不便さが大幅に解消されました。1991年に海中道路が沖縄県の県道となってからは一気に道路の改良が進みます。2車線だった道路が4車線となり、さらに中央にはロードパークが建設されました。これによって、観光道路の下地ができあがったといえるでしょう。
敷設当初は産業道路として考えられていた海中道路でしたが、県道となってからは、その眺望のすばらしさが広く知れ渡り、次第に沖縄を代表する観光のシンボル的なスポットとして認められるようになりました。
2. 海中道路までのアクセス方法
海中道路に行くには沖縄自動車道(有料道路)を使うのが分かりやすいでしょう。
那覇空港から沖縄自動車道を通り沖縄北ICで降ります。沖縄北インター線(県道36号)へと入り、その後、県道37号を通り海沿いを南東に走ると、海中道路に到着します。空港からの距離は約39km。到着までの時間は約1時間です。タクシーなどで移動するには少し遠いので、那覇空港近くでレンタカーを借りるのがおすすめです。なお、沖縄自動車道を使わないで、東海岸沿いの国道329号線を通るのもよいでしょう。それほど変わらない時間で海中道路に到着します。ただし、時間によっては多少混む場合があります。
3. 海中道路がつなぐ4つの島
海中道路がつなぐ平安座島・浜比嘉島・宮城島・伊計島の4つの離島は、どのようなところなのでしょうか。以下でそれぞれの島の概要をみていきましょう。
平安座島
与勝半島の東側、海中道路で半島とつながる平安座島(へんざじま)は、4つの離島を中心とする与勝諸島の入口の島です。面積は5.44平方km、周囲は約7kmの平坦な地形の有人島です。戦前までは沖縄本島北部との交易における中継地点として栄えていました。その後、平安座島にアメリカの石油会社ガルフ・オイル社が進出。1970年には巨大な石油備蓄基地が建設されました。この時期に、石油輸送を目的として、海中道路が産業用道路として敷設されました。島の北側に整然と並ぶ大きな石油コンビナートは、21世紀のいまも独特な風景を見せてくれます。
毎年3月から4月にかけて「あやはし海中ロードレース大会」が開催されています。コースは海中道路がメインです。橋からの景観を楽しみながら走れるため、毎年県内外から多くのランナーが集まってきます。起伏の少ないコースなのでマラソンに不慣れな方でも参加しやすい大会です。
浜比嘉島
浜比嘉島(はまひがじま・はまひがしま)は平安座島の南側に位置する、面積2.09平方km、周囲6.69kmの、起伏を持った台地状の有人島です。平安座島からかかる全長約1.4kmの浜比嘉大橋(県道238号)を渡ると、浜比嘉島に到着します。浜比嘉島は自然が豊かなエリアで養殖のモズク漁が有名です。島の集落には昔ながらの漆喰や赤瓦屋根の民家、祀られているシーサーや台風よけの石垣といったものが残っており、沖縄の伝統や文化が強く感じられるでしょう。
また、沖縄県に伝わる神話によれば、浜比嘉島は琉球創世神の女神アマミキヨ(アマミチュー)と男神シネリキヨ(シルミチュー)が住んだ島とされています。そのため、浜比嘉島には神話の地とされる史跡が多数残り、パワースポットとして人気を集めています。
宮城島
宮城島(みやぎじま)は平安座島より北東側にある島です。ドライブで訪れる際には、先に浜比嘉大橋を経由してから平安座島へ戻ることで、スムーズに立ち寄れるでしょう。面積は5.54平方km、周囲12.2kmです。平安座島・浜比嘉島・宮城島・伊計島の4つの中では最大の島です。宮城島は農地が多く、サトウキビ・紅イモ・葉タバコなどの栽培が主に行われています。また、宮城島は水量が豊富で、島のいたるところで湧き水が流れています。水道が敷設される前は、湧き水が生活用水として使われていたそうです。
宮城島はほかの島よりも標高(100mほど)が高いことから高離島(たかはなりじま)とも呼ばれており、美しい海やのどかなサトウキビ畑の眺めなど、周辺の美しい眺望を見渡せます。宮城島はSNS映えする写真を撮影するのにぴったりのエリアといえるでしょう。
伊計島
伊計島(いけいじま)は、宮城島よりさらに北にある島です。宮城島の北端近くに架かる全長198mの伊計大橋を渡ると伊計島に到着します。面積1.72平方km、周囲7.49kmの島です。伊計島は別名「イチハナリ」とも呼ばれています。これは、沖縄の方言で「一番離れた島」という意味です。
伊計島の土地の多くは農地です。サトウキビ・メロン・スイカ・葉タバコなどが作られています。集落は島の南側に集まっています。大通りは「フラワーロード」と呼ばれており、1月から3月頃のシーズンには、咲き誇るひまわりが見られるでしょう。また、伊計島は歴史の古い島です。先史時代にはすでに人が住んでいたと見られています。島内からは土器や石斧などの遺物や集落跡の遺跡が発見されました。伊計島に立ち寄った際には、その歴史や文化にぜひ触れてみてください。
4. 海中道路を通って行きたいおすすめスポット!①
海中道路の沿線にはさまざまなおすすめスポットがあります。以下ではおすすめスポットを9カ所ピックアップしました。海中道路をドライブする際にはぜひ立ち寄ってくださいね。
海の駅あやはし館
海中道路の中央にある海の駅あやはし館は、360度オーシャンビューが楽しめる、船形の建物の休憩所です。お土産スペースが充実しており、うるま市の特産品や沖縄土産などが選べます。1階には海を眺めながら食事ができるレストランやイートスペースがあるので、ランチに立ち寄るのもよいでしょう。地元の新鮮な魚を使ったお刺身や海ぶどうなどをテイクアウトしてテラス席で食べることもできます。デザート類も豊富で、ブルーシールアイスクリーム、金時豆が使われたアイスぜんざい、地元の「おっぱ乳業」のおっぱソフトクリームなどが人気です。
建物2階には沖縄の自然や与勝半島の歴史が学べる「海の文化資料館」があります。近世琉球時代に交易で用いられていた「マーラン船」の模型が展示されています。海中道路ビーチに降りれば、海水浴やマリンレジャーを楽しむこともできますよ。
平安座西公園(平安座島)
平安座西公園は、平安座島の与勝半島側の入口付近、海中道路を渡ってすぐの場所にある開放的な雰囲気の公園です。よく手入れされている公園で、木陰やベンチがあり、芝生がきちんと整っています。海風が心地よいので、ドライブの休憩場所におすすめです。周辺にはカフェやコンビニエンスストアなど、休憩にちょうど良い施設も充実しています。テイクアウトした食べ物を持ってピクニック気分を楽しんだり、ちょっとしたバーベキューをするのにもよいかもしれません。
平安座西公園は、浜比嘉島や浜比嘉大橋を見渡せるスポットとしても有名です。浜比嘉島を正面に捉えたパノラマ感のある写真が撮影できますよ。
ムルク浜ビーチ(浜比嘉島)
ムルク浜ビーチは浜比嘉島の東側にある、人の手がほとんど加えられていない天然ビーチです。自然が多く残っているので、ありのままの沖縄の風景が楽しめます。ムルク浜ビーチは、海水浴だけでなく、生き物を観察するスポットとしても人気です。例えば、5月から6月はウミガメの産卵シーズン。ムルク浜ビーチには多くのウミガメが産卵のために訪れます。生まれた卵がふ化するのは、6月から8月頃。タイミングが合えばちいさな子亀が海へと旅立つ姿が見られるでしょう。ほかにも、天然記念物のオカヤドカリなど、珍しい生きものに出会えるかもしれません。
ムルク浜ビーチは「浜比嘉島リゾート」と提携しており、さまざまなマリンアクティビティが楽しめるビーチでもあります。マリンジェットの水圧で空を飛ぶ「フライボード」や水上スノーボード「ウェイクボード」は大人気のアクティビティです。「バナナボートで行く無人島シュノーケルツアー」では、バナナボートで約15分かけて無人島「南浮原島」に移動しシュノーケリングをします。インストラクターも同伴するので、シュノーケリング初心者でも安心です。マリンスポーツとセットになったバーベキュープランもあります。
なお、ムルク浜ビーチは全域において自由にシュノーケリングができます。ただし監視員がいないので、シュノーケリングの際には安全に十分に配慮してください。
シルミチュー・アマミチュー(浜比嘉島)
シルミチューとアマミチューは、浜比嘉島にある神様にかかわる史跡です。沖縄に伝わる琉球の神話には諸説あります。最も有名なものは、創世神の命によってニライカナイ(神の世界)から降り立った琉球創世神アマミキヨが、琉球の島々や国をつくったというものです。
浜比嘉島の東側の海岸は、アマミキヨと男神シネリキヨがニライカナイから降り立った土地とされています。二柱の神は子を授かり、浜比嘉島の南側にある洞窟で暮らしたと伝えられています。この洞窟がシルミチュー霊場です。洞窟内には鍾乳石が霊石として祀られています。霊石は子宝を授けてくれる力があるとされており、子授け祈願に多くの人が訪れるそうです。
また、東側海岸から北側、陸続きとなった小島「アマンジ」には、アマミチューの墓があります。この墓にはアマミチューだけでなく、シルミチューをはじめ、さまざまな神々が祀られているため、多くの人たちの信仰の対象となっています。まさに沖縄県や琉球文化の聖地であるといえるでしょう。毎年旧暦の1月1日には、ニントゥウグワン(年頭拝み)という祭事が催され、五穀豊穣・無病息災・子孫繁昌などが祈願されています。
兼久ビーチ(浜比嘉島)
ムルク浜ビーチよりも南側、車で4分ほどの距離の地点に兼久(かねく)ビーチはあります。人の手がほとんど加えられていない天然ビーチで、ありのままの自然が楽しめます。水の透明度が非常に高く、シュノーケリング愛好家からは穴場スポットとして知られているビーチです。砂浜や海には巨岩がいくつもあり、岩のすき間からみえる海は独特の表情を見せます。また、巨岩が入り江を取り囲んでいるため、波が非常に穏やかです。
ただし、兼久ビーチの海底には足を傷つけやすい岩場があるので、訪れる際にはマリンシューズを持参した方がよいでしょう。
海中道路を通って行きたいおすすめスポット!②
ぬちまーす観光製塩ファクトリー(宮城島)
ぬちまーす観光製塩ファクトリーは宮城島にある製塩工場です。世界初の製法である「常温瞬間空中結晶製塩法」で作られる高品質な塩「ぬちまーす」を製造しています。ぬちまーすとは沖縄の方言で「命(ぬち)の塩(まーす)」のことを意味し、通常の食塩よりもミネラル分の種類と量が豊富で、かつ塩分量が25%ほど低いという特徴を持ちます。ぬちまーすに含まれるミネラルの数は21種類。マグネシウムに関しては一般の食塩の200倍もの量が含まれています。健康によい塩として高い人気です。
ぬちまーす観光製塩ファクトリーでは製塩工程を無料ガイド付きで体験できます。直営ショップでは特別価格で商品が購入可能です。
果報バンタ(宮城島)
果報(かふう)バンタは、ぬちまーす製塩工場ファクトリー敷地内の「ぬちうなー(命御庭)」にある、標高約70mの絶景スポットです。ぬちうなーやその周辺は整備されているので、果報バンタまでは気軽に歩いていけます。
沖縄の方言で果報バンタは「幸せ岬」という意味です。崖の上から見える、美しい青のグラデーションの海や、天然ビーチのぬちの浜の眺めは、まさに「幸せ」を感じさせるものです。果報バンタは時間帯によってもその景観を大きく変化させます。おすすめは太陽が真上あたりにある11時から13時とされています。なお、シーズンが合えば、たくさんのウミガメが産卵する様子を、果報バンタから眺められるそうです。
伊計ビーチ(伊計島)
伊計ビーチは、宮城島から伊計島に渡ってすぐの場所にある、小さな入り江状のビーチです。風や干満の影響を受けにくく、波が穏やかです。伊計ビーチには、更衣室・シャワー・トイレといった施設がしっかりと完備されています。遊泳監視もいるので、女性や子ども連れの方も安心して利用できるでしょう。伊計ビーチではさまざまなマリンアクティビティを楽しむこともできます。シーカヤック・マリンジェットツアー・シュノーケルツアーなどで、沖縄の海を満喫しましょう。
大泊ビーチ(伊計島)
伊計島の西側、サトウキビ畑を抜けると、大泊(おおどまり)ビーチはあります。大泊ビーチは600mもの砂浜が続く天然ビーチ。内海側にあるため、風や潮流の影響が少なく比較的波が穏やかなので泳ぎやすいビーチとして知られています。更衣室・トイレ・シャワーといった施設が完備され、さらにはビーチショップやパーラーなどもあります。大泊ビーチなら気持ちよく沖縄の海を楽しめるでしょう。
≪まとめ≫海中道路を通って沖縄の海を満喫しよう!
当初は産業道路として誕生した沖縄の海中道路は、沖縄県を代表する観光スポットとして知られるようになりました。海中道路をドライブすれば、沖縄の青く美しい海が満喫できることでしょう。海中道路は今回紹介したような穴場ビーチや絶景スポットにも通じているので、観光道路としても魅力的ですよ。沖縄県をドライブする際には、ぜひ海中道路を通ってください。
Posted by
Drive! NIPPON編集部
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