愛知県の観光名所は、戦国武将の城や工場見学だけではありません。海や山の魅力にも富んでいて、三河湾に浮かぶ3つの島は非日常感を味わえる人気の観光地。港から高速船で10~20分ほどでたどり着ける島々は日帰りトリップにぴったりです。キラキラと輝く海景色、どこか懐かしい集落、三河湾の幸など心ときめく出会いにあふれているのも魅力。今回は愛知県の3つの離島の見どころと、季節限定の無人島を紹介します!
(写真/佐久島のアート作品『カモメの駐車場』)
TABLE OF CONTENTS
目次
1.三河湾に浮かぶ3つの島と無人島。さぁ、どこに行く?
愛知県の有人離島は、三河湾に浮かぶ「佐久島」「日間賀島」「篠島」の3島だけ。アートの島として全国的にも注目された佐久島、名古屋から一番近くてにぎわいを見せる日間賀島、伊勢神宮と縁が深く名所旧跡の多い篠島と、独自の個性にあふれています。3つの島の距離はわりと近いのですが、佐久島は西尾市、日間賀島・篠島は知多郡南知多町と自治体が異なり、アクセス方法は島ごとに大きく変わります。
また、三河湾には無人島も数々点在。なかでも蒲郡市の「三河大島」は夏だけ航路が開かれてリゾ-トアイランドに変貌します。海水浴やマリンスポーツが楽しめる無人島は、地元でも意外と知られていない穴場かも!? 希望の過ごし方に合わせて島を選んでみましょう。
(写真/日間賀島)
2.愛知県の島旅。島へのアクセス方法は?
4つの島へ渡るための出港地や料金などのアクセス方法を分かりやすく解説します。天候や海の状況に応じて運航休止がありますので、しっかり確認してから出かけるのがおすすめです。
佐久島は「西尾市一色港」から
西尾市一色港の「佐久島行船のりば」から、佐久島行きの高速船が1日7便出航。一色港~佐久島西港~佐久島東港を結ぶルートで、約20分の船旅です。片道大人830円、小学生420円(未就学児は、大人1名につき1名無料)で、どちらの港で乗り降りしてもOK。東港と西港の距離は約2キロ、歩いて30分ほどなので、行き帰りの港を変えて島を縦断するのもおすすめです。一色港周辺には、無料駐車場1000台分が完備されています。
日間賀島・篠島は「知多半島の師崎港」から
代表的なのは、知多半島の「師崎港」から高速船で向かうコース。師崎港~日間賀島約10分、師崎港~篠島約10分で結ぶ、あっという間の船旅です。運賃は、両島ともに往復大人1530円、小人770円(未就学者および乳幼児は、大人1名につき1名無料)。便ごとに行き先が篠島行き、日間賀島(東港・西港)行き、両島行きと細かく分かれているので、乗船するときはご注意を。ほかには、知多半島の河和港、渥美半島の伊良湖港発着の船便もあります。
師崎港には平面駐車場・立体駐車場(1日2000円)を完備。ただし夏期は満車が多い上、2024年8月19日から平面駐車場が工事で閉鎖に。夏期や週末などには、南知多道路「豊丘IC」そばに師崎港臨時駐車場(1回1000円)が開設され、師崎港まで無料シャトルバスが運行します。乗り換えのゆとりを持って出かけましょう。
三河大島は「蒲郡市の蒲郡港」から
2024年は、8月1日~8月31日に定期航路が開設。蒲郡港~三河大島東浜~西浜を結び、約10分で三河大島に到着します。「蒲郡観光汽船(伊藤造船)乗船センター」から1日7便が発着し、料金は往復大人1600円、小学生800円(幼児は大人1人につき1人無料。2人目から小人料金)。車は同センター駐車場に無料で駐車できます。
3.「佐久島」の歩き方。アート作品を巡ったり、ネコとまったり
佐久島は三河湾のほぼ真ん中に位置する愛知県で一番広い島で、196人の島民が暮らしています(2020年)。佐久島の3大見どころは「アート」「ネイチャー」「グルメ」。島内に点在するアート作品は全国的に話題を呼んでいて、アニメ映画の舞台にも。島の8割を里山が包む自然豊かな環境の中、四季折々の花々やネコたちに癒されながら気の向くまま散策してみませんか。アート巡りの途中に、島グルメを味わえる食堂やおしゃれなカフェでひと休みできるのも幸せ。夏は「大浦海水浴場」が開設され、きれいな海で遊び尽くせます。
宝探しみたいなワクワク感「アート・ピクニック」
佐久島は1996年からアートによる島おこしをスタートし、2024年現在で島内22カ所、島外2カ所にアート作品が点在しています。防波堤に多くのカモメが整列して風によって向きを変える『カモメの駐車場』、箱の中や屋上でのんびりできる『イーストハウス』、この対岸にたたずむ『おひるねハウス』などの代表作から、つい見逃してしまいそうな小さな“のぞき箱作品”もあって、実に個性豊か。渡船場でMAP付きのスタンプシートを手に入れ、アート・ピクニックを楽しみましょう。時には迷子になりながら作品を探す島さんぽは、宝探しのようにワクワクします!
(写真/佐久島のアート作品『イーストハウス』)
「三河湾の黒真珠」と呼ばれる、黒壁の西集落
島内にコンビニやスーパーはなく、信号もなし。昭和の時代を思わせるノスタルジックな風情が佐久島の魅力です。西港のそばにある「黒壁の西集落」はその最たるもの。船底の防水塗装に使ったコールタールが建物にも使われていて、光沢のある黒壁が連なる景色から「三河湾の黒真珠」と称されるようになりました。家屋の合間を縫ってくねくねと曲がる細い路地では、ネコたちが歩いたり寝そべっていたりして、ほっこりします。東港の周辺に広がる東集落も、路地が入り組んでいて迷路のよう。あてもなく歩いて、ゆるりと流れる島時間に癒されてみませんか。
大アサリにタコ、野菜も美味。個性的なカフェも点在
三河湾の特産である大アサリを使った大アサリ丼が佐久島の名物。魚介類だけでなく、島でつくる野菜も新鮮そのもので、海の幸の定食や海鮮丼といった島グルメが各店で味わえます。また島内に点在sる隠れ家的なカフェをめぐるのもおすすめ。古民家を改修したカフェ、海を一望できるカフェなどオーナーのこだわりに満ちていて、不思議なほど落ち着きます(不定休があるので、行く前に確認を)。春と秋には島の文化祭&マルシェ「39の市」が開催され、手づくり雑貨やおいしいものが島の内外から集結します。
■住所:愛知県西尾市一色町佐久島
■TEL : 0563-72-9607(西尾市役所 佐久島振興課)
4.「日間賀島」の歩き方。タコとフグ、夏のハモも名物!
全国の離島の中でも、人口密度がトップレベルの日間賀島。漁業と観光が盛んな同島の人口は1716人(2020年)で、平らな島にお店や旅館がずらりと連なり、島の活気が伝わってきます。日間賀島の名物グルメといえば、タコとフグ。タコ丸茹でやふぐ、ハモといった豪華な海の幸がお手頃で味わえるとあって、グルメを目当てに訪れる方が続々。西港と東港にはそれぞれ砂浜のビーチがあり、夏は海水浴客で大にぎわいです。
東港と西港でタコがお出迎え。駐在所までタコの形に!?
多幸(タコ)の島、福(フグ)の島」でおなじみの日間賀島では、あちこちでユーモラスな“タコ”に出会えます。島に上陸した瞬間から目に飛び込むのが、西港と東港にあるタコモニュメント。西港は「にっしー」、東港は「がっしー」と名づけられ、フォトジェニックなスポットとして人気です。どこかにハートマークが隠れているので、ぜひ探してみて。また西港から程近い駐在所はタコ型、マンホールはタコかフグの模様、お店の壁にもタコアートが!たこ阿弥陀様をお祀りする「安楽寺」にはタコ柄の絵馬があり、縁結びのご利益で知られています。タコ(多幸)巡りで幸せを引き寄せてみませんか。
海に向かってこぎだす「恋人ブランコ」や1つだけの信号機
1周約5.5㎞、標高差30mほどという平坦な島なので、気軽に散歩が楽しめます。海沿いの外周道路を潮風に吹かれながら歩けば、水平線や島々が望めて気分爽快。一方、集落の中は路地が入り組んでいて、迷路のようにワクワクと探検できます。島の映えスポットとして人気なのが、東港近くの高台にある「恋人ブランコ(ハイジのブランコ)」。大木の枝に掛けられたブランコに乗ると、海にこぎ出すような開放感! 東港近くにある信号機は日間賀島で唯一の信号機で、小学生の交通学習用に設置されたのだそう。
本場ならではの美味と価格。タコ丸茹でや冬の王様フグも!
夏はハモや車海老、冬はふぐ尽くし。新鮮な魚介類を本場ならではの価格で味わえるのが日間賀島の醍醐味です。通年提供される「タコ丸茹で」はぜひ味わってほしい島名物。タコ1杯をゆでてどーんとお皿に立てたリアルな姿に驚きますが、はさみで切り分けながら味わうと、甘みや柔らかさにハマるはず。そして10月~3月限定の主役といえば、冬の王様ふぐ。愛知県は天然とらふぐの水揚げ量で全国トップレベルを誇り、日間賀島では100年以上前からふぐを1匹ずつ釣り上げる漁法で上質なふぐを届けてきました。島にはふぐ調理師免許をもつ料理人が約80人いて、各所でふぐのフルコースを堪能できます。
■住所:愛知県知多郡南知多町日間賀島
■TEL : 0569-68-2388(日間賀島観光協会)
5.「篠島」の歩き方。伊勢神宮との縁が深い、神宿る島
日間賀島の隣に浮かぶ篠島は、師崎港から高速船で約10分とこちらもアクセス良好。漁業と観光を主な生業として、1518人(2020年)が暮らしています。1000年以上も続く伊勢神宮との関わりや、伊勢神宮ゆかりの神社が祀られていることから「神宿る島」とも呼ばれるように。築城の名人である加藤清正が石を切り出した跡も残るなど、歴史好きにたまらない神秘の島と言えそうです。篠島グルメの代表格は4月~12月に水揚げされるしらすで、生でも釜ゆででも美味!
伊勢神宮におんべ鯛を献上。荘厳な島の神社にもつながりが
篠島では1000年以上にわたり、伊勢神宮へ年に3回「おんべ鯛」を奉納してきました。おんべ鯛とは、篠島で獲れた鯛を島の神職が調整所で塩漬けにし干したもの。上質な鯛が倭姫命(ヤマトヒメノミコト)に好まれたというのが起源とされています。10月の「おんべ鯛奉納祭」では、伊勢神宮から与えられた「太一御用旗」を掲げた船団が伊勢神宮へ向かう様子が見られ、その光景は圧巻。こうしたつながりから、島の神社では式年遷宮で下賜された古材が使われています。神明神社は福寿、八王子社は縁結びのご利益で知られています。訪れて清々しい空気を味わってみては。
島の西側に、風光明媚なスポットが続々
篠島をぐるりと1周しながらの名所巡りは3時間ほどで楽しめます。東側には約800mも続く弓形の砂浜があり、夏は海水浴スポットとして人気。港近くの海上釣り堀「篠島釣り天国」では鯛やハマチなどが放流され、大物の釣果が狙えるチャンスです。にぎわいから離れて、風光明媚な島景色を楽しむなら島の西側が狙い目。「歌碑公園展望台」からは、松島と夕日が織りなす美しい絶景が一望できます。島の最南端「太一岬(きらきら展望台)」や、加藤清正が名古屋城築城のために切り出しかけた「清正の枕石」にも足を延ばせば、雄大な景色に出会えそう。
鯛にしらす、近年は穴子やカキも人気上昇中
伊勢神宮に献上されるほど上質な篠島の鯛は、身が締まって甘みがあり、格別の味わい。また、しらすは漁港単位で見ると漁獲量日本トップクラスを誇っており、本場ならではの新鮮しらす丼はぜひ食べたい名物です。豊かな漁場が育むタコ、秋冬の天然とらふぐに加えて、近年の新名物は穴子とカキ。4~11月にかけて脂ののった穴子、12~5月には愛知県内初の養殖カキ「篠島カキ」が食べ頃を迎えます。お目当てのご馳走が一番美味しくなる旬を狙って来島しましょう。
■住所:愛知県知多郡南知多町篠島
■TEL : 0569-67-3700(篠島観光協会)
6.番外編「三河大島」へ。無人島の砂浜でバカンス気分!
蒲郡港の沖合3キロに浮かぶ「三河大島」は、愛知県で唯一、海水浴ができる無人島。島全体に熱帯樹林が茂り、わずか10分の船旅で南国バカンス気分が味わえます。2024年は8月1日~8月31日限定で海水浴場が開設され、この期間は1日7便の船が運航。無人島でひと味違う夏を過ごしてみませんか。
東浜と西浜に海の家が並び、マリンスポーツも楽しめる!
三河大島の東浜は海水浴場、西浜はマリンスポーツが中心。それぞれ数軒ずつ海の家がオープンし、レジャー客でにぎわいます。東浜海水浴場は幅50m、長さ200mという砂浜のビーチで、干潮時にはすっと伸びる砂州が登場してリゾート感たっぷり。海の家では名物の大あさり、ハワイアンなグルメ、BBQなど、無人島とは思えないほど多彩なグルメを楽しめます。SUPやカヌーといったアクティビティ、温水シャワーといった施設も完備。海の家はピーク時に満席になりやすいので、予約をしておくと安心です。船旅×無人島の非日常感でとっておきの思い出になりそう!
■船発着所住所:蒲郡市松原町937(蒲郡観光汽船、0533-68-3456)
■TEL : 0533-68-2526((一社)蒲郡市観光協会)
Posted by
Drive! NIPPON編集部
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